揚げ物にはなぜキャベツなのか(後編)
前回はタイトルから逸れて、コロッケ定食を食べる順番に終始してしまい、大変申し訳ございませんでした。
今度こそ、正真正銘、なぜ揚げ物にはキャベツなのかをひもといていきます。
歴史的背景と栄養面での理由を書きますね。
1.歴史
そもそも揚げ物が日本で食べられるようになったのは明治時代。
東京・銀座にある煉瓦亭という洋食屋さんの創業者である木田元次郎さんという人が、仔牛のコートレットというメニューを作った。
コートレットというのはカツレツの語源にもなってて、薄切りの肉にパン粉を付けて焼いたもの。
当初付け合わせはバターソテーした温野菜で味付けは全体的に濃いめだったそうな。
当時の日本人の味覚からしたら、くどすぎて不人気。
そこで木田のおっちゃんはてんぷらからヒントを得て、豚肉にパン粉を付けて大量の油であげてみた。
これが大ヒットしたみたいなんだけど、付け合わせには試行錯誤が必要だった。
なにしろ、日露戦争で人手がなくて手の込んだものは作れないし、季節によって手に入る野菜も違ってくる。
通年手に入る野菜で、手のかからない付け合わせはできないものか。
木田のおっちゃんもいろいろ考えて試したことだろう。
最終的には、キャベツの一夜漬けから、一夜漬けて美味しいなら生で出しても美味しいだろうってことで、キャベツの千切りを提供してみた。キャベツなら通年手にはいるし、千切りにするだけなら手間もそれほどかからないしね。
これが、口がさっぱりするってことで、お客さんに好評だったことから、トンカツ+キャベツがゴールデンコンビになったわけ。
今や、パン粉で揚げたものならなんでもキャベツと一緒に出てくるよね。
2.栄養
キャベツに含まれている栄養素で、キャベジンほど有名なものはないんじゃないだろうか。
キャベジン聞いたことあるよね?
聞いたことない人も安心して。
今から説明するから。
キャベジンはビタミンUとも言われる栄養素で、胃の粘膜を修復・保護する働きがあって、消化を助けてくれるんだって。
それ以外にも、たんぱく質の生成を活発化したり、細胞分裂を促進したり、傷ついた組織を修復する働きがあるそうな。
そして、食物繊維。
食物繊維は脂質や糖質の吸収を穏やかにする。なんでも急激にやるのは良くない。脂質も糖質も急激に吸収されるのは良くない。
そしてビタミンC。
ビタミンCは肌にいいとか、抗酸化作用があるとか、いろいろ働きがあるんだけど、粘膜を整える働きがある。
脂っこいものをとってもたれがちな胃を整えてくれるってわけ。
そして酵素。
酵素は生野菜とか生肉とかに含まれてるよね。酵素も脂肪の吸収を穏やかにする。そして、代謝を促進する。
揚げ物は美味しいけど、カロリーが高かったり、胃に負担がかかったりする。
美味しいものは食べたいけど、太りたくない、胸焼けも胃もたれもいや。
そんなわがままな欲望を叶えてくれる存在がキャベツだったんだね!!
キャベツに含まれる栄養は、水溶性だったり、熱に弱かったりするから、生で食べるのがいい。
ということで、揚げ物+キャベツは栄養的にも理にかなっていたのでした。